いぬかい耳鼻科医院

東洋医学

東洋医学とは?

東洋医学には中医学(中国)をはじめ、韓医学(韓国)、アーユルベーダ(インド)、チベット医学(チベット)など様々なものがあります。日本の東洋医学といえば「漢方医学」です。よく漢方は中国のものと誤解されますが漢方医学は日本に昔から存在した和方(わほう)に、中医学と韓医学が融合し、日本で独自の発展を遂げた医学です。、代表的な治療は漢方薬でクリニックで処方する場合は保険が利きます。一般用医薬品として薬局で購入は可能ですが自費です。また、漢方医学というと、漢方薬だけの治療と思われがちですが、漢方薬のほかに鍼灸(しんきゅう)や按摩(あんま)、指圧(しあつ)、養生(ようじょう)など様々な治療法があります。多方面から総合的に体をケアするのが漢方医学です。

西洋医学と東洋医学の関係

西洋医学では体を構成する細胞や臓器に何らかの異常が起きたときに病気になると考えます。循環器科、呼吸器科、泌尿器科など体を細分化して考えて、異常が起きている局所の治療を行います。東洋医学は「個の医学」ともいわれ、体と心をひとつのものとして捉え、その人の体質や生活習慣病、体内バランスの乱れが病気の原因だと考えます。西洋医学は人を横に診ます。一方東洋医学は人を縦に診ます。縦と横の関係にあるため、視点が違い、わかり易くなります。例えるとペットボトルを真上から診ると、丸いものにしか見えませんが(西洋医学)、横から診るとペットボトルだということがわかります(東洋医学)。つまり、西洋医学的ににて分からなかったものが東洋医学的に見てわかることがあるわけです。治療も考え方が異なり西洋医学的には弱った木に働きかけて治しますが、東洋医学的には森全体をよくして木が自然に治るようにします。

漢方は効くのか

効きます。漢方薬は最初に人体実験が行われ、効果があることがわかり、存在し続けています。西洋薬は実験室での試験管で効果が確認され、動物実験を行い、最後に人体実験が行われます。なぜ効くか、仕組みはわかっていないものが多いけれど、とにかく歴史的に効くことがわかっているのが漢方です。でも最近は多くの大学で漢方薬が研究され、効果の仕組みがわかりつつあります。

自然治癒

東洋学医学は自然治癒を重視します。体は元々自然に治るように設計されています。治りやすい環境にすることが重要です。漢方薬で治すというより、生活改善、食事改善、等を行うことで、自然に治るように誘導します。

心身一如

心と体は一体化しています。心の問題も解決すると良い方向に行きます。例えば、悩みがあるとストレスホルモンが出て、そのために内耳の血管が収縮し、耳鳴りが発生します。従って、悩みがなくなれば、耳鳴り良くなることになります。

漢方薬は長くのまないと効かない?

短期用と長期用があります。風邪によく使う麻黄附子細辛湯(まおう・ぶし・さいしん・とう)は内服後30秒で効果がありますし、足がつった時に使う芍薬甘草湯(しゃくやく・かんぞう・とう)は平均6分で効果があります。一方、生理痛、不妊症でよく使う、当帰芍薬散は効果出るまで、長時間(最低でも2週間)はかかります。

漢方薬を飲む時間は?理想的な飲みかたは?

食事の前30分もしくは、食事と食事の間の空腹のときにお飲みください。1日3回 朝、昼、夜 もしくは、朝、夕、寝る前などの都合のよい時間で結構です。1日2回や1回の薬の場合は、担当医の指示にしたがってください。担当医の指示があれば食事の後にお飲みください。食事の前に飲み忘れたら、食事の後少し時間をおいてから飲んでください。効果は大きく変わりません。漢方薬を、湯のみなどに入れ、沸騰した適量のお湯に溶かした後、飲みやすい温度に冷ましてお飲みください。〇〇湯という名前は元々は煎じ薬です。コーヒーは本来、ドリップして飲みますが、面倒なのでインスタントコーヒーがあります。インスタントコーヒーを飲む時には粉のまま口に入れて、水で流し込むことはしません。お湯に溶かして飲みます。それと同じです。完全に溶けない場合は、お湯を追加して、電子レンジで10秒程温めると溶けることが多いです。「冷え」のある方は、特に温かいまま飲むと効果的です。葛根湯(かっこんとう)、香蘇散(こうそさん)、参蘇飲(じんそいん)などもともと生姜(ショウキョウと読む。ショウガのこと)を含んでいる漢方薬を飲む場合は小指の先くらいの大きさの新鮮なショウガをすり下ろし、お湯に溶いた漢方薬に混ぜて飲むようにします。効き目が高まります。チューブのタイプのショウガは効果が少ないです。

食事

医食同源というように食事は医療の中で重要です。人間の歯は片側に8本あります。門歯が野菜用、犬歯が肉・魚用、臼歯が穀物用です。そのバランスが人間にとって適切だと考えられます。おかずは「まごわやさしい(まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ、いも)」を参考にするとよいです。その土地のもの、旬のものが体によいです。よくかむことも大切です。腹6~8分目がよいです。食べ過ぎは血栓や動脈硬化の原因をつくります。特に乳製品、肉の過剰摂取は良くなく、また、アルコール、カフェインの過剰摂取も良くないです。適度にとることはかまいません。

呼吸

呼吸器(空気の通り道)は鼻から始まります。口はあくまで消化器(食べ物の通り道)であり、呼吸器ではありません。本来、哺乳類は鼻呼吸をするように設計されています。しかし1歳以上の人間は話すために口でも呼吸ができます。例外的な呼吸方法です。鼻で呼吸をしましょう。また、健康のためには腹式呼吸が良いです。腹式呼吸は副交感神経が刺激され、末梢血管が拡張し、体の隅々まで酸素や栄養が行き渡ります。

運動

人間は動物で、本来動くものです。文明の利器が発達したために、動かなくとも生活できてしまうため、つい、運動不足になりがちです。適度な運動が健康維持に必要です。運動不足は死亡率を高めます。「肥満症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症」共に運動不足が背景にあります。逆に運動のし過ぎも良くありません。活性酸素が増えるためです。

精神活動

人体に加わるあらゆる刺激がストレスとなり、光、音、圧などの物理的な刺激ばかりではなく、いじめ、拘束、無視、別れなども心理的ストレスとなります。過度のストレスで病気になります。逆に、適度なストレスは免疫機能を高め生体防御機能を高めます。また、必ずしも病気、症状は良くなるとは限りません。100点は無理でも60点程度でよしとする気持ちが大事だと思われます。

環境

副流煙、騒音、大気汚染、水質汚濁、家庭環境、人間関係など、環境は健康を左右します。できるだけ良い環境に身を置くことも大切です。

睡眠・休養

昼間活動して体を壊し、夜に睡眠を取ることによって壊れた体を修復します。そのサイクルによって病気も治ります。個人差はありますが、適切な睡眠時間は7から8時間と言われています。また、疲労感を感じたら休むようにします。疲労感は警告だと思われます。短時間でも回復できる場合が多いです。当たり前のことかもしれませんが、自然治癒力を高める生活指導により、症状や病気が改善することをしばしば経験します。

子供への上手な飲ませかた

乳児へは溶かした薬をスプーンに入れ少量ずつ口に入れてください。幼児以上であれば、薬が必要なことを十分説明して理解させてから飲ませてください。顆粒のままの方が飲みやすいことが多いです。飲ませるのが難しければ顆粒をオブラートに包んだり、溶かした薬に砂糖(精製していない、てんさい湯、黒糖、など)、はちみつ(1歳未満不可)などを混ぜたり、ココア、ヨーグルトドリンクなど味の濃いものに溶かす、料理に混ぜるなど工夫してください。少量ずつ混ぜる量を増やすのがコツで、最も重要なのは、お母さんの熱意と工夫、子どもへの説明です。

自然治癒力を高める生活指導

急性の症状はまだしも、慢性的な症状は特に生活習慣に問題があることが多いです。漫然と対症療法を続けても薬をやめれば再発することをしばしば経験します。人間はもともと設計にミスがなく、バランスがとれて、病気などせずに健康に一生を送れるようになっています。本当は、医者は病気を治せません。治るのを薬や手術で手伝っているだけです。例えば医師が手術でも縫ったとしても、本人の細胞分裂がなければ傷はくっつきません。私は耳鼻科医であるが東洋医学の専門医でもあります。東洋医学的な視点で私見も加えて述べてみたいと思います。

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